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【CPAPシリーズ第2回】「CPAPって苦しくない?」息がしにくそうで怖い方へ|空気で気道を支える仕組みと慣れるコツ

公開日:2026年09月29日
更新日:2026年10月03日

「ピンピンコロリを日常生活に。」

横濱おなか診療所では、眠っている時間も含めて、これから元気に自分らしく暮らせる時間を支えることを大切にしています。今回は、CPAPを勧められた方からよく聞く「空気を送られると苦しくないの?」という不安についてお話しします。


「空気を送られる」と聞くと苦しそうに感じませんか?

睡眠時無呼吸症候群の治療としてCPAPを勧められたとき、

「機械で空気を送り込まれるなんて苦しそう」
「自分の呼吸と機械のタイミングがずれたらどうしよう」
「寝ている間ずっとマスクをつけて、本当に眠れるの?」

と不安になる方は少なくありません。

特に、これまで呼吸を助ける機械を使ったことがなければ、「人工呼吸器のようなもの」を想像してしまうこともあると思います。

まずお伝えしたいのは、一般的な睡眠時無呼吸症候群に使用するCPAPは、機械が患者さんの代わりに呼吸する治療ではないということです。

基本的には、ご自身でいつも通り息を吸って、吐きます。
その呼吸が睡眠中に途切れにくいよう、空気の圧で気道を開いた状態に保つのがCPAPです。

この違いを知るだけでも、CPAPへのイメージは少し変わるのではないでしょうか。


まず知ってほしいこと|CPAPは「呼吸をさせる機械」ではありません

CPAPは「つぶれそうな気道を空気で支える」治療

閉塞性睡眠時無呼吸では、眠って筋肉がゆるむと、のどの奥の気道が狭くなったり、ふさがったりします。
イメージとしては、柔らかいストローを吸ったときに、ストローが途中でつぶれてしまう状態に少し似ています。

CPAPは、そのストローの内側からやさしく空気圧をかけて、「ぺちゃんこになりにくい状態」に保つ治療です。
日本呼吸器学会も、CPAPについて「マスクを介して持続的に空気を送ることで、狭くなっている気道を広げる治療」と説明しています。
一般社団法人日本呼吸器学会

つまり、強い風で無理に息を押し込むというより、「空気の添え木」でのどの通り道を支えていると考えると分かりやすいでしょう。

自分のタイミングで息を吸って、吐いて大丈夫です

「機械に呼吸を合わせなければいけないのでしょうか?」

これもよくある心配です。

通常のCPAPでは、患者さんは自分の呼吸のリズムで息をしています。
CPAPが一定の陽圧を保つことで、呼吸の通り道を確保します。患者さんに代わって一呼吸ずつ強制的に呼吸させるものではありません。
Mayo Clinicも、CPAP使用中は自分で通常通り吸ったり吐いたりできると説明しています。Mayo Clinic

ですから、「機械より先に吸ってしまったらどうしよう」「タイミングを間違えたら息ができなくなるのでは」と心配する必要は、基本的にはありません。


なぜCPAPをつけると「苦しい」と感じることがあるの?

一方で、CPAPを初めて装着したときに「やっぱり少し苦しい」と感じる方がいるのも事実です。

これは必ずしも、CPAPが身体に合わないという意味ではありません。

① 吐くときに空気の圧を感じる

CPAPは気道が閉じないように陽圧をかけています。そのため、最初は息を吐くときに、
「向かい風の中で息を吐いているみたい」
と感じることがあります。

慣れるにつれて気にならなくなる方もいますが、装置によっては、眠りにつくまで徐々に圧を上げる「ランプ機能」や、息を吐くときの圧を少し下げる機能があります。

ただし、治療圧を自己判断で大きく変更するのは避け、医療機関や機器担当者へ相談してください。

② マスクそのものに慣れていない

鼻や口の周りにマスクがあるだけで、

「顔を覆われている感じがする」
「閉じ込められたようで落ち着かない」と感じる方もいます。

この場合、問題は空気圧そのものではなく、マスクへの違和感かもしれません。

いきなり一晩中使おうとせず、起きている時間に数分間装着してみる方法があります。
テレビを見たり、本を読んだりしながら使い、「マスクをつけても普通に呼吸できる」と身体で確認していく方法です。

③ 鼻づまりや口呼吸がある

CPAPの空気そのものより、鼻が詰まっていることで「息がしにくい」と感じる場合もあります。
鼻づまりが強い方では、鼻炎などの治療が必要になることがあります。
また、口呼吸が強い場合は、使用するマスクの種類を見直した方がよいこともあります。

乾燥が強い場合には、加温加湿器の調整が役立つケースもあります。

④ 圧やマスクが今の自分に合っていない

「CPAPそのものが無理」と思っていても、実際には、

マスクのサイズが合っていない
空気が漏れている
鼻マスクより別のタイプが合っている
圧の立ち上がりが負担になっている

など、調整できる理由が隠れていることがあります。

「苦しいから自分には向いていない」と最初から決めるより、何が苦しいのかを分解して考えることが大切です。


苦しいときは「我慢して慣れる」だけが正解ではありません

CPAPについて、
「そのうち慣れるから我慢してください」
だけで終わってしまうのは、私はあまりよい方法だとは思いません。

確かに、最初の違和感は使用を続けるうちに軽くなることがあります。
しかし、マスクが合っていない、空気漏れが多い、鼻づまりがある、圧への違和感が強い、といった調整可能な問題まで我慢する必要はありません。

CPAP治療では、治療を続けられる環境を一緒につくることも治療の一部です。
CPAP開始時のマスクの違和感、空気圧、鼻症状などはよくみられる問題であり、マスクや機器・設定の調整を医療者と相談することを勧めます。


初めてのCPAPに慣れるためにできること

まず一つ試すなら、寝るとき以外にCPAPを少し使ってみることをおすすめします。

例えば、

  • まずマスクだけを数分つける
  • 慣れたら機械を作動させて数分呼吸してみる
  • テレビや読書をしながら10~20分程度使ってみる
  • 「普通に吸える・吐ける」と確認してから就寝時に使う

という順番でも構いません。

「今日から8時間つけなければ」と考えると、かえって緊張してしまう方もいます。
すべてを一度に克服する必要はありません。

ただし、治療効果を得るには睡眠中に適切に使用することが重要ですので、うまく使えない状態が続く場合は、自己判断で中止するより一度相談してください。


こんなときは治療をやめる前に相談してください

次のような場合には、「CPAPが自分には無理」と決める前に、医療機関やCPAPを管理しているスタッフへ伝えてみてください。

  • 数日使っても、空気圧が強くて眠れない
  • 息を吐きにくい感覚が強い
  • マスクをすると強い不安や圧迫感がある
  • 鼻づまりや鼻・口の乾燥が強い
  • 空気漏れが気になって眠れない
  • お腹に空気がたまり、張りや痛みが出る
  • CPAPを使っているのに日中の強い眠気が続く

機器には使用時間だけでなく、治療中の呼吸状態やリークなどを確認できるものがあります。
そうしたデータも、「使えている・使えていない」を責めるためではなく、どこを調整すれば使いやすくなるかを考える材料になります。

なお、CPAP使用中かどうかにかかわらず、明らかな呼吸困難、胸痛、意識の変化などがある場合は、CPAPへの慣れの問題だけと考えず、適切な医療機関への相談が必要です。


CPAP治療で私が大切だと考えていること

睡眠時無呼吸の治療は、「機械を使えるかどうか」だけを評価するものではありません。
よく眠れない、日中眠い、疲れが取れないといった状態が続けば、毎日の活動にも影響します。

横濱おなか診療所が掲げる「ピンピンコロリを日常生活に。」という考え方も、特別な健康法を意味しているわけではありません。
夜にしっかり休み、日中に自分らしく活動する。
その当たり前の生活を守るために、必要な治療を無理なく続けられる形を一緒に探していくことも大切だと考えています。


まとめ|「苦しい=CPAPができない」と決めなくて大丈夫です

CPAPは、機械が患者さんの代わりに呼吸する治療ではありません。

自分で呼吸しながら、睡眠中につぶれやすい気道を空気の圧で支える治療です。

最初は空気の圧やマスクに違和感があっても、
「圧が苦しいのか」
「マスクが苦しいのか」
「鼻が詰まっているのか」
「空気漏れが気になるのか」 を一つずつ整理すると、改善できることがあります。

次回の第3回では、「マスクが合わない…」は我慢しなくていい|CPAPマスクは選び直せますをテーマに、鼻マスク・ピローマスク・フルフェイスマスクなどの違いについて詳しくお話しします。


Q&A

Q1.CPAPをつけたら、自分で呼吸しなくてもよくなるのですか?

いいえ。一般的なCPAP治療では、ご自身で呼吸します。
CPAPは人工呼吸器のように一呼吸ずつ強制的に呼吸させるものではなく、空気の圧で睡眠中の気道が閉じにくい状態をつくる治療です。


Q2.CPAPの空気に呼吸を合わせる必要がありますか?

基本的には、機械に合わせようと意識する必要はありません。
いつものように息を吸い、吐いて構いません。「合わせなければ」と考えるほど呼吸を意識してしまい、かえって緊張する方もいます。


Q3.息を吐きにくいのですが、我慢した方がよいですか?

強い違和感を我慢し続ける必要はありません。

CPAPでは息を吐くときにも陽圧を感じるため、開始直後には違和感を覚える方がいます。
ランプ機能や呼気時の圧を軽減する機能などが利用できる場合もありますので、設定を自己判断で変更するのではなく、医療機関へ相談してください。


Q4.CPAPが怖くて眠れません。どうすればよいですか?

眠る前に、起きている状態で短時間練習してみる方法があります。

マスクだけをつけるところから始め、慣れたら機械を作動させて数分使ってみます。
「つけても普通に呼吸できる」と分かるだけで、安心できる方もいます。


Q5.どうしてもCPAPに慣れなかったら、治療をやめてもよいですか?

まずは自己判断で中止する前に、何が続けにくいのかを相談してみてください。

マスク、リーク、鼻症状、乾燥、圧など、調整によって改善できる原因があります。
一方で、CPAP以外の治療を検討する場合もあり、睡眠時無呼吸の重症度や原因によって選択肢は異なります。


CPAPを初めて使ったときに「思ったより空気が強い」「これで眠れるのだろうか」と感じても、それだけでCPAPが合わないと決まるわけではありません。

まずは、何が一番つらいのかを一つ見つけてみてください。
空気の圧なのか、マスクなのか、鼻づまりなのか。それが分かると、対策も考えやすくなります。

一方で、うまく眠れない状態が続いたり、「このまま使ってよいのか分からない」と不安になったりした場合は、治療を中断する前にご相談ください。

横濱おなか診療所では、「ピンピンコロリを日常生活に。」を合言葉に、病気や検査結果だけではなく、その先の「元気に自分らしく暮らせる時間」も大切にしながら診療していきたいと考えています。

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