排便時の強い痛み・鮮血は裂肛(…
公開日:2026年08月09日
更新日:2026年08月09日

目次
「トイレットペーパーに血がついた」
「排便したあと、おしりから何か出ている気がする」
「痔かもしれないけれど、おしりを診てもらうのは恥ずかしい」
このような悩みがあっても、場所がおしりであるため、なかなか医療機関へ相談できない方は少なくありません。
実際の診療でも、
「数年前から気になっていたのですが、恥ずかしくて受診できませんでした」
とお話しになる方がいらっしゃいます。
まず知っていただきたいのは、
いぼ痔(痔核)は特別な人だけに起こる病気ではなく、年齢や性別を問わず誰にでも起こりうる身近な病気だということです。
また、痔だからといって必ず手術になるわけではありません。
まずは「今どのような状態なのか」を確認し、それに合わせて治療方法を考えていきます。
この記事では、特に多くみられる「内痔核」について、症状や原因、受診の目安を分かりやすく説明します。

いぼ痔(痔核)とは?
一般に「いぼ痔」と呼ばれているものを、医学的には痔核(じかく)といいます。
痔核には大きく、
- 肛門の内側にできる「内痔核」
- 肛門の外側にできる「外痔核」
があります。
今回は、特に排便時の出血や「何かが出てくる」という症状につながりやすい内痔核について説明します。
肛門の中には、便やガスが漏れないよう出口を細かく調節している、血管を豊富に含んだクッションのような組織があります。
この組織が排便時の強いいきみなどによって腫れたり、支えている組織がゆるんで下へずれたりすると、内痔核として症状が現れるようになります。
「突然いぼが生えてきた」というより、もともと肛門にある組織が腫れて、少しずつ下がってくると考えるとイメージしやすいでしょう。

内痔核ではどんな症状がみられる?
内痔核でよくみられるのは、主に
出血と脱出、痛みです。
排便時に鮮やかな赤い血が出る
内痔核では、
「トイレットペーパーに赤い血がついた」
「便の表面に血がついていた」
「便器が赤くなって驚いた」
という形で出血に気づくことがあります。
内痔核ができる肛門の内側は、外側の皮膚に比べて痛みを感じにくい場所です。
そのため、痛みはほとんどないのに血だけ出るということも珍しくありません。
「痛くないから大丈夫」と考えてしまいやすいのですが、出血が続く場合には一度原因を確認しておくことが大切です。
排便すると「何かが出てくる」
内痔核が大きくなり、下へずれてくると、排便時に肛門の外へ出ることがあります。
これを「脱出」あるいは「脱肛」と呼びます。
患者さんからは、
「排便後におしりに何か挟まっている感じがする」
「いぼのようなものが出てくる」
「拭いてもなかなかすっきりしない」
といった表現で相談されることがあります。
症状が軽いうちは自然に肛門内へ戻りますが、進行すると指で押し戻さなければ戻らなくなることもあります。

内痔核は4段階に分けて考えます
内痔核の程度を表す際には、「Goligher(ゴリガー)分類」という4段階の分類がよく使われます。
Ⅰ度
内痔核は肛門の中にあり、外には出てきません。
出血だけで気づくことがあります。
Ⅱ度
排便時に外へ出ますが、排便が終わると自然に戻ります。
Ⅲ度
排便時に外へ出て、自然には戻らず、指で押すと戻ります。
Ⅳ度
常に外へ出ていて、押しても戻りにくい状態です。
ただし、「Ⅲ度だから必ず手術」などと、この分類だけで治療法を決めるわけではありません。
出血の程度、脱出する頻度、痛み、生活への影響などを合わせて治療方法を考えます。

なぜ内痔核ができるのでしょうか?
内痔核は一つの原因だけで起こるわけではありません。
特に大きく関係するのが、排便の際に肛門へ繰り返しかかる負担です。
例えば、
- 便が硬く、毎回強くいきむ
- 便秘が続いている
- トイレに長時間座っている
- 便が出ないのに何度も力む
- 下痢や頻回の排便が続いている
- 妊娠・出産で骨盤周囲に負担がかかる
などがあります。
意外に見落とされやすいのが、トイレに座っている時間です。
スマートフォンを見ながら5分、10分と便座に座り続ける習慣があると、その間ずっと肛門周囲に圧がかかります。
「便を出す場所」であるトイレが、いつの間にか「休憩場所」になっている方は、少し意識してみてください。
「痔だと思うから大丈夫」と決めつけないことも大切です
排便時の出血は内痔核でよくみられる症状です。
ただし、血便=痔とは限りません。
大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患などでも出血することがあります。
特に、
- 今までなかった出血が始まった
- 出血を何度も繰り返している
- 最近、便秘や下痢など便通が変化した
- 腹痛を伴っている
- 体重が減ってきた
- 痔の薬を使っても出血が続く
といった場合には、一度医療機関で原因を確認することをおすすめします。
必要に応じて大腸内視鏡検査などを検討する場合もありますが、すべての方に同じ検査を行うわけではありません。
年齢や症状、これまでの検査歴などを確認したうえで相談します。
肛門外科ではどんな診察をする?
「何をされるのか分からないから怖い」
という不安も、受診をためらう理由の一つだと思います。
診察では、まず症状についてお話を伺います。
例えば、
「いつから血が出ていますか?」
「痛みはありますか?」
「排便すると何か出てきますか?」
「自然に戻りますか?」
「便秘や下痢はありますか?」
といった内容です。
その後、必要に応じて肛門周囲を確認し、指による診察や肛門鏡を使った観察を行います。
もちろん、症状や経過によって必要な診察は異なります。
「うまく説明できません」という場合でも、
「血が出る」
「何か出てくる」
「違和感がある」
といった一言から一緒に整理していくことができます。
こんな場合は一度相談してください
軽い違和感が一時的にあり、排便習慣を見直すことで改善している場合には、経過をみられる場合もあります。
一方で、
- 排便時の出血を繰り返している
- 排便のたびに何かが出てくる
- 出たものを指で押し戻している
- 痔の市販薬を使っても繰り返す
- 日常生活や仕事が気になるほど症状がある
- 本当に痔なのか分からず不安が続いている
場合には、一度ご相談ください。
また、大量に出血する、出血に伴ってふらつく、急に強い痛みが出たといった場合には、早めの受診が必要です。

内痔核は「すぐ手術」ではありません
痔の診察を受けると、
「そのまま手術を勧められるのでは?」
と心配される方もいらっしゃいます。
しかし、内痔核の治療では、便の状態や排便習慣を整えることがとても重要です。
必要に応じて坐薬や軟膏などの薬を使い、それでも出血や脱出が続く場合には、硬化療法や手術などを検討します。
詳しい治療方法については、後編の記事で、
→「【後編】いぼ痔(内痔核)はどう治す?排便習慣・薬・ALTA療法・手術まで解説」
として詳しくご紹介します。
よくあるご質問
Q1.痔は高齢者の病気ですか?
いいえ。年齢や性別を問わず起こる可能性があります。
便秘、下痢、強いいきみ、長時間の排便など、肛門へ負担がかかる状況が続けば、若い世代でも痔核がみられます。
「この年齢で痔になるのはおかしい」と考える必要はありません。
Q2.痛みがなければ痔ではありませんか?
内痔核では痛みがほとんどないこともあります。
特に初期では、排便時の出血だけで気づくケースもあります。
痛みの有無だけで判断せず、出血を繰り返す場合には一度確認しておきましょう。
Q3.いぼが出てきても自然に戻れば大丈夫ですか?
自然に戻る場合は比較的軽い段階である可能性がありますが、繰り返している場合には一度状態を確認することをおすすめします。
排便習慣の改善だけで症状が落ち着く場合もあれば、薬物治療などを組み合わせる場合もあります。
Q4.血が出たら大腸カメラが必要ですか?
すべての方に大腸カメラが必要なわけではありません。
年齢、出血の状態、便通の変化、これまでの検査歴などから必要性を判断します。
まず診察を受け、そのうえで必要な検査を相談するという流れで構いません。
受診を迷っている方へ
おしりの症状を相談することに恥ずかしさを感じるのは珍しいことではありません。
一方、医療者にとって痔や肛門出血は日常的に診察している症状です。
横濱おなか診療所では、肛門の症状だけでなく、便秘や下痢など排便の状態も合わせて確認しながら診療しています。
「痔かどうか分からない」
「診察を受けるほどなのか迷っている」
という段階でも、そのままご相談いただいて構いません。
横濱おなか診療所
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