「右下のお腹が痛い」「もしかし…
公開日:2026年05月27日
更新日:2026年05月24日

目次
「緊張するとお腹がゆるくなる」
「通勤中や外出先で急にトイレに行きたくなる」
「下痢が続いているけれど、ストレスのせいだと思って様子を見ている」
このようなご相談は、横濱おなか診療所でもよくあります。
下痢は日常的に起こりやすい症状のひとつです。
食べ過ぎ、冷え、感染性胃腸炎、薬の影響、ストレスなど、原因はさまざまです。
一時的な下痢であれば自然に改善することも多いですが、何度も繰り返す場合や、腹痛・血便・体重減少を伴う場合には、単なる「ストレス性の下痢」と決めつけないことが大切です。
特に、過敏性腸症候群、いわゆるIBSと、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、いわゆるIBDは、どちらも下痢や腹痛を起こすことがあります。
一方で、病気の性質や治療方針は大きく異なります。

今回は、横浜・中山駅近くで消化器内科、肛門外科、内視鏡検査を行う立場から、
「繰り返す下痢」をどう考えるべきか、過敏性腸症候群と炎症性腸疾患の違い、受診の目安について、できるだけわかりやすくお話しします。
繰り返す下痢で多い「過敏性腸症候群」とは
過敏性腸症候群は、検査で明らかな炎症や腫瘍などが見つからないにもかかわらず、腹痛や腹部の不快感とともに、下痢や便秘を繰り返す病気です。
英語ではIrritable Bowel Syndromeといい、略してIBSと呼ばれます。命に直結する病気ではありませんが、生活の質を大きく下げることがあります。
たとえば、下痢型の過敏性腸症候群では、次のような症状がみられます。
朝の通勤・通学前に下痢をしやすい
会議や試験、外出前に急に便意が出る
トイレの場所が気になって外出が不安になる
排便すると腹痛が少し楽になる
検査では大きな異常を指摘されない
過敏性腸症候群には、ストレスや不安、自律神経の乱れ、腸の動きの過敏さ、腸内環境の変化などが関係していると考えられています。

つまり、「気のせい」ではありません。
腸が敏感になり、生活の中の刺激に反応しやすくなっている状態と考えると理解しやすいと思います。
似ているけれど違う「炎症性腸疾患」とは
一方で、炎症性腸疾患は、腸に慢性的な炎症や潰瘍が起こる病気です。
代表的なものに、潰瘍性大腸炎とクローン病があります。
潰瘍性大腸炎は、主に大腸の粘膜に炎症や潰瘍が起こる病気です。
下痢、血便、腹痛が代表的な症状で、状態によっては発熱、貧血、体重減少を伴うこともあります。
クローン病は、小腸や大腸を中心に、口から肛門まで消化管のさまざまな場所に炎症が起こる病気です。
下痢や腹痛に加えて、体重減少、発熱、貧血、肛門痛、痔瘻などの肛門症状を伴うことがあります。
肛門周囲の症状をきっかけに、クローン病が疑われることもあります。

過敏性腸症候群と炎症性腸疾患は、どちらも下痢や腹痛を起こすため、症状だけでは区別が難しいことがあります。
しかし、炎症性腸疾患では、腸に実際の炎症が存在するため、血液検査、便検査、大腸カメラなどで異常が見つかることがあります。
IBSとIBDの違いを整理すると
過敏性腸症候群と炎症性腸疾患の違いは、「腸に明らかな炎症や潰瘍があるかどうか」が大きなポイントになります。
過敏性腸症候群では、腸の動きや知覚が過敏になっているものの、大腸内視鏡検査で明らかな炎症や潰瘍が見つからないことが多いです。
症状はストレスや生活リズム、食事、睡眠などと関係して変動しやすい傾向があります。
一方、炎症性腸疾患では、腸の粘膜に炎症や潰瘍が起こります。
下痢が長引くだけでなく、血便、発熱、体重減少、貧血、夜間の下痢などがみられることがあります。
症状が一時的に落ち着いても、炎症が残っている場合があり、専門的な治療と継続的な管理が必要になることがあります。

どちらも患者さんにとってつらい病気ですが、治療方針は異なります。
過敏性腸症候群では、生活習慣の見直し、食事の調整、整腸剤、腸の動きを整える薬、下痢を抑える薬などを組み合わせます。
炎症性腸疾患では、炎症を抑える薬や免疫を調整する薬など、病状に応じた専門的な治療が必要になります。
「ストレスのせい」と思い込まない方がよい症状
繰り返す下痢の中には、早めに消化器内科を受診した方がよいサインがあります。
特に注意したいのは、次のような症状です。
血便がある
便に粘液や血が混じる
夜中に下痢で目が覚める
発熱を伴う
体重が減ってきた
貧血を指摘された
腹痛が強い、またはだんだん悪化している
下痢が数週間以上続いている
便潜血検査で陽性だった
家族に大腸がんや炎症性腸疾患の方がいる
これらの症状がある場合、過敏性腸症候群だけでなく、炎症性腸疾患、大腸ポリープ、大腸がん、感染性腸炎、薬剤性腸炎、虚血性腸炎など、他の病気も考える必要があります。
とくに血便は、「痔だと思っていたら大腸の病気だった」ということもあります。肛門外科の視点では痔核や裂肛などの肛門疾患を確認しつつ、消化器内科の視点では腸の奥からの出血がないかを考えることが大切です。

診察ではどのようなことを確認するのか
繰り返す下痢で受診された場合、私はまず、症状の出方を丁寧に確認します。
いつから下痢が続いているのか
1日に何回くらい排便があるのか
腹痛はあるのか
排便後に腹痛が楽になるのか
血便や粘液便はあるのか
夜間にも症状があるのか
体重減少や発熱はあるのか
食事、ストレス、仕事、睡眠との関係はあるのか
内服薬やサプリメントの影響はないか
このような情報から、過敏性腸症候群らしい経過なのか、炎症性腸疾患などの可能性を考えるべきなのかを整理していきます。
必要に応じて、血液検査で炎症反応や貧血の有無を確認したり、便検査を検討したりします。症状や年齢、便潜血、血便の有無によっては、大腸内視鏡検査、いわゆる大腸カメラをおすすめすることがあります。
大腸カメラは「不安を減らすための検査」でもあります
下痢が続いている方の中には、「大腸カメラはつらそう」「そこまで大げさにしたくない」と感じる方もいらっしゃいます。
もちろん、すべての下痢に大腸カメラが必要なわけではありません。
ただし、血便、便潜血陽性、長引く下痢、体重減少、貧血などがある場合には、腸の粘膜を直接確認することが大切です。
大腸カメラでは、炎症性腸疾患、大腸ポリープ、大腸がんなどの有無を評価することができます。症状の原因がはっきりすることで、不要な不安を減らせることもあります。
横濱おなか診療所では、内視鏡検査のつらさや不安をできるだけ少なくするために、細い胃カメラや大腸カメラ、炭酸ガス送気、必要に応じた鎮静剤の使用など、患者さんの負担に配慮した検査を心がけています。
「検査を受けるべきかどうか分からない」という段階でも構いません。
まずは症状の経過を一緒に整理し、検査が必要かどうかを相談することが大切です。
横濱おなか診療所で大切にしていること
当院は、横浜市緑区・中山駅近くの胃腸内科、消化器内科、肛門外科、内科、外科の診療所です。
腹痛、下痢、便秘、血便、胃もたれ、胸やけ、肛門の痛みや出血など、おなかと肛門の症状を幅広く診療しています。
繰り返す下痢では、症状だけを見て「ストレスですね」と片づけるのではなく、背景にある病気を見落とさないことが大切です。
一方で、検査で大きな異常がなかった場合にも、「異常なしだから終わり」ではなく、過敏性腸症候群として生活の質をどう改善していくかを一緒に考える必要があります。
消化器内科、肛門外科、内視鏡検査を組み合わせて診ることで、腸の病気と肛門の病気の両方を意識した診療ができます。
専門医としての経験を生かしながら、必要な検査を適切に選び、患者さんの不安が少しでも軽くなる説明を心がけています。
まとめ:繰り返す下痢は、原因を整理することが大切です
下痢を繰り返すと、「またストレスかな」「体質だから仕方ない」と思ってしまうことがあります。
たしかに、過敏性腸症候群のように、ストレスや生活リズムと関係して下痢を繰り返す病気はあります。
しかし、炎症性腸疾患、感染性腸炎、大腸ポリープ、大腸がん、肛門疾患など、治療や検査が必要な病気が隠れていることもあります。
血便、体重減少、発熱、貧血、夜間の下痢、長引く腹痛がある場合は、早めに消化器内科へ相談してください。
横浜・中山駅周辺で、繰り返す下痢、腹痛、便通異常、血便、肛門の症状にお困りの方は、無理に我慢せず、一度ご相談ください。
症状の経過を丁寧に確認し、必要に応じて血液検査、便検査、大腸カメラなどを組み合わせながら、原因を一緒に考えていきます。
よくある質問
Q1. 下痢が続いていますが、ストレスだけで起こることはありますか?
あります。過敏性腸症候群では、ストレスや緊張、生活リズムの乱れをきっかけに下痢を繰り返すことがあります。
ただし、血便、発熱、体重減少、貧血、夜間の下痢がある場合は、炎症性腸疾患など他の病気も考える必要があります。
Q2. 過敏性腸症候群と炎症性腸疾患は、症状だけで区別できますか?
症状だけで完全に区別することは難しい場合があります。
過敏性腸症候群でも腹痛や下痢が起こりますし、炎症性腸疾患でも同じような症状が出ます。
血液検査、便検査、大腸内視鏡検査などを組み合わせて判断します。
Q3. 血便があります。痔だと思って様子を見てもよいですか?
痔による出血はよくありますが、血便の原因が必ず痔とは限りません。
大腸の炎症、ポリープ、大腸がんなどが関係することもあります。
特に血便を繰り返す場合や、下痢・腹痛を伴う場合は、肛門外科と消化器内科の両面から確認することをおすすめします。
Q4. 大腸カメラは必ず必要ですか?
すべての方に必要なわけではありません。
症状の期間、年齢、血便の有無、便潜血検査の結果、貧血や体重減少の有無などを確認して判断します。
必要性が高い場合には、病気の見落としを防ぐために大腸カメラをおすすめします。
Q5. 検査で異常がなければ、治療は不要ですか?
異常がないことは安心材料になりますが、症状が続いて生活に支障がある場合は治療の対象になります。
過敏性腸症候群では、食事、睡眠、ストレス、薬物療法などを組み合わせて、症状を和らげることを目指します。









