健康診断や人間ドックで 「血圧…
公開日:2026年04月29日
更新日:2026年04月26日

目次
健康診断の結果を見て、
「肝機能異常」「AST高値」「ALT高値」「γ-GTP高値」と書かれていて、
不安になったことはありませんか。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることがあります。
多少の負担がかかっていても、自覚症状が出にくい臓器です。
そのため、健康診断で偶然見つかった肝機能異常が、
脂肪肝、アルコール性肝障害、ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害などを
見つけるきっかけになることがあります。
日本肝臓学会の「奈良宣言2023」でも、
健診などでALTが30を超えた場合には、
まずかかりつけ医への相談がすすめられています。
横濱おなか診療所でも、健診で肝機能異常を指摘された方から
「お酒を飲まないのにγ-GTPが高いのはなぜですか」
「ASTとALTは何が違うのですか」
「脂肪肝と言われたけれど放置してよいのでしょうか」といったご相談をいただくことがあります。
今回は、消化器内科の視点から、
健診でよく見るAST・ALT・γ-GTPの意味、原因、受診の目安について、
できるだけわかりやすくお話しします。
健診の肝機能検査では何を見ているのか
特定健診では、生活習慣病の早期発見を目的として、
血糖、脂質、血圧、尿検査などとともに、
肝機能検査としてAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP)が基本項目に含まれています。
「肝機能検査」と聞くと、肝臓の働きそのものを直接測っているように感じるかもしれません。
もちろん肝臓の状態を知るうえで重要な検査ですが、
AST・ALT・γ-GTPは、肝臓の細胞や胆道系に負担がかかっていないかをみる“サイン”のようなものです。
つまり、数値が少し高いからすぐに重い病気というわけではありません。
一方で、「症状がないから大丈夫」と放置してよいとも限りません。
大切なのは、数値の高さだけでなく、どの項目が上がっているのか、以前と比べて変化しているのか、
体重・飲酒・薬・糖尿病・脂質異常症などの背景があるかを合わせて見ることです。
ASTとは|肝臓以外の影響も受ける項目
ASTは、以前はGOTと呼ばれていた検査項目です。
肝臓の細胞に多く含まれる酵素ですが、心臓、筋肉、赤血球などにも存在します。
そのため、ASTが高い場合には肝臓の病気だけでなく、
激しい運動後、筋肉の炎症、心臓の病気、溶血などの影響を受けることもあります。
たとえば、
健康診断の数日前に強い筋トレをした、マラソンを走った、肉体労働が続いたという場合、
ASTが一時的に上がることがあります。
もちろん、それだけで説明できるかどうかは検査全体を見て判断する必要があります。
肝臓由来の異常かどうかを見るときには、
ALTやγ-GTP、ALP、ビリルビン、血小板数、腹部エコーなどを組み合わせて確認します。
ALTとは|肝臓の炎症を反映しやすい項目
ALTは、以前はGPTと呼ばれていた検査項目です。
ASTと同じく肝細胞の中にある酵素ですが、ASTよりも肝臓に比較的特異性が高いとされています。
肝細胞が傷つくとALTが血液中に漏れ出し、数値が上昇します。
そのため、
ALTが高い場合には、肝臓に炎症や負担がかかっている可能性を考えます。
特に近年よく見られるのが、脂肪肝に伴うALT上昇です。
体重増加、内臓脂肪、糖尿病、脂質異常症、高血圧などが背景にある方では、
飲酒量が多くなくても脂肪肝が進行していることがあります。
以前は「脂肪肝は軽い病気」という印象を持たれることもありました。
しかし、脂肪肝の一部は肝炎、肝線維化、肝硬変、肝がんへ進行することがあります。
とくに糖尿病や肥満を伴う方では、定期的な確認が大切です。
日本肝臓学会では、
ALTが30を超える場合には慢性肝臓病が隠れている可能性があるとして、
かかりつけ医への相談を呼びかけています。
γ-GTPとは|お酒だけでなく胆道系や薬の影響も
γ-GTPは、正式にはγ-GTとも表記されます。
胆管に分布する酵素の一種で、飲酒量が多いときや胆道系の病気などで上昇しやすい項目です。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、
γ-GTはアルコール、薬物、胆汁うっ滞、肝炎、肝硬変などの早期発見につながる検査と説明されています。
「γ-GTPが高い=お酒の飲みすぎ」と思われがちですが、実際にはお酒以外でも上がります。
たとえば、脂肪肝、胆石、胆のう・胆管の病気、薬剤の影響、サプリメント、漢方薬などが関係することもあります。
もちろん、飲酒量が多い方ではγ-GTPが上がりやすく、ASTやALTのパターンと合わせてアルコール性肝障害を疑うこともあります。
私が診療でよくお伝えしているのは、「γ-GTPだけを見て一喜一憂しすぎないこと」です。
大切なのは、AST・ALT・γ-GTPの組み合わせ、飲酒習慣、体重変化、薬の内容、腹部症状などを合わせて判断することです。
肝機能異常の主な原因
健診で肝機能異常を指摘された場合、原因として多いものには次のようなものがあります。
まず多いのは脂肪肝です。
食べすぎ、運動不足、体重増加、内臓脂肪、糖尿病、脂質異常症などが関係します。
お酒を飲まない方でも脂肪肝になることがあります。
次に、アルコール性肝障害です。
毎日の飲酒量が多い方、休肝日が少ない方、以前より飲酒量が増えた方では注意が必要です。
また、B型肝炎、C型肝炎などのウイルス性肝炎も重要です。
現在は治療が進歩していますが、気づかないまま慢性肝炎として経過していることがあります。
さらに、薬剤性肝障害もあります。
処方薬だけでなく、市販薬、健康食品、サプリメント、漢方薬が関係することもあります。
新しく始めた薬やサプリメントがある場合は、受診時に必ず伝えてください。
そのほか、
自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、胆石・胆管炎、甲状腺疾患、筋肉由来のAST上昇など、
さまざまな原因があります。
どのくらいの数値なら受診した方がよい?
健診結果に「要精密検査」「要受診」「要再検査」と書かれている場合は、
症状がなくても医療機関で確認することをおすすめします。
特定健診の結果にも、必要に応じて「精密検査を受けてください」「治療を受けてください」
といった案内が記載されるため、健診結果は必ず確認することが大切です。
特に、次のような場合は早めの相談が望ましいです。
・ALTが30を超えている状態が続いている。
・ASTやALTが基準値を大きく超えている。
・γ-GTPが高く、飲酒量が多い。
・脂肪肝、糖尿病、脂質異常症、高血圧、肥満を指摘されている。
・肝炎ウイルス検査を受けたことがない。
・黄疸、強いだるさ、尿の色が濃い、食欲低下、腹部の張りがある。
一方で、軽度の異常であっても、数年前からじわじわ悪化している場合は注意が必要です。
健診結果は今年だけでなく、過去数年分を並べて見ると、体の変化がわかりやすくなります。
当院での確認の流れ
横濱おなか診療所では、健診で肝機能異常を指摘された方に対して、まず結果表を確認しながらお話を伺います。
具体的には、飲酒量、体重変化、食生活、運動習慣、内服薬、サプリメント、既往歴、家族歴、過去の健診結果などを確認します。
肝臓の数値は生活習慣と関係することも多いため、検査値だけでなく、その方の日常生活を一緒に振り返ることが大切です。
必要に応じて、血液検査で肝炎ウイルス、血糖、脂質、炎症反応、胆道系酵素などを確認します。
また、脂肪肝や胆石などが疑われる場合には、腹部エコーなどの画像検査を検討します。
当院は消化器内科・肛門外科・内視鏡検査を行うクリニックとして、胃腸の症状だけでなく、
健診異常や生活習慣病のご相談も多くいただきます。
肝機能異常の背景に胆道系の病気や消化器疾患が疑われる場合には、
必要な検査や専門医療機関への紹介も含めて、無理のない形で方針を一緒に考えていきます。
肝機能異常を指摘されたときに、まずできること
受診までの間にできることとしては、まず飲酒量を見直すことです。
毎日飲んでいる方は、量と頻度を記録してみるだけでも気づきがあります。
次に、体重と腹囲の確認です。体重が少し増えただけでも、
肝臓には脂肪がたまりやすくなることがあります。
急激なダイエットではなく、
食事内容を整え、間食や夜食、糖分の多い飲み物を減らし、
歩く時間を増やすことから始めるのが現実的です。
また、自己判断でサプリメントや健康食品を増やすことはおすすめしません。
肝臓に良いと思って始めたものが、かえって肝臓に負担をかけることもあります。
薬を飲んでいる方は、
自己判断で中止せず、受診時に薬の内容を医師に伝えるようにしてください。
お薬手帳や健診結果を持参していただくと、判断がしやすくなります。
まとめ|肝機能異常は「体からの静かなサイン」です
健診で肝機能異常を指摘されても、すぐに重い病気と決まるわけではありません。
しかし、肝臓は症状が出にくい臓器です。
だからこそ、AST・ALT・γ-GTPの異常は、体からの静かなサインとして受け止めることが大切です。
ASTは肝臓以外の筋肉などの影響も受ける項目です。
ALTは肝臓の炎症を反映しやすく、ALTが30を超える場合には慢性肝臓病の可能性を考えて相談することがすすめられています。
γ-GTPはお酒だけでなく、胆道系の病気、薬剤、脂肪肝などでも上昇します。
横浜・中山駅周辺で、健診の肝機能異常について相談したい方は、
結果表をお持ちいただき、これまでの推移も含めて一緒に確認していきましょう。
「少し高いだけだから」と放置するよりも、一度原因を整理しておくことで、安心につながることがあります。
Q&A|健診の肝機能異常でよくある質問
Q1. お酒を飲まないのにγ-GTPが高いことはありますか?
あります。γ-GTPは飲酒で上がりやすい項目ですが、
脂肪肝、胆石、胆道系の病気、薬剤、サプリメントなどでも上がることがあります。
お酒を飲まないから肝臓は大丈夫、と決めつけず、AST・ALTや他の検査項目と合わせて確認することが大切です。
Q2. ASTとALTはどちらが重要ですか?
どちらも重要ですが、ALTは肝臓への特異性が比較的高い項目です。
ALTが持続して高い場合は、脂肪肝、肝炎、薬剤性肝障害などを考えて評価します。
一方、ASTは筋肉など肝臓以外の影響も受けるため、運動歴や他の検査との組み合わせで判断します。
Q3. ALTが30台でも受診した方がよいですか?
日本肝臓学会の奈良宣言2023では、ALTが30を超えた場合には、かかりつけ医への相談がすすめられています。
特に、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧、脂肪肝、飲酒習慣がある方は、一度確認しておくと安心です。
Q4. 脂肪肝は放置してもよいですか?
脂肪肝の多くは生活習慣の見直しで改善が期待できますが、
一部は肝炎、肝線維化、肝硬変へ進行することがあります。
特に糖尿病や肥満を伴う場合は注意が必要です。
定期的な血液検査や画像検査で経過を見ることが大切です。
Q5. 受診時には何を持っていけばよいですか?
健診結果、過去数年分の検査結果、お薬手帳、サプリメントや健康食品の情報があると診察がスムーズです。
飲酒量や体重変化も、わかる範囲でメモしておくと原因を考えやすくなります。









