健康診断や人間ドックで 「血圧…
公開日:2026年05月10日
更新日:2026年05月04日

目次
健康診断の結果で、
「LDLコレステロールが高い」
「中性脂肪が高い」
「脂質異常症の疑い」
と書かれていて、不安になったことはありませんか。
脂質異常症は、以前は「高脂血症」と呼ばれることが多かった病気です。
現在は、単に脂が高いだけでなく、HDLコレステロール、いわゆる善玉コレステロールが低い場合も含めて考えるため、「脂質異常症」と呼ばれています。
脂質異常症は、血液中のLDLコレステロール、中性脂肪、HDLコレステロールなどのバランスが崩れた状態を指します。

横濱おなか診療所でも、健診結果をきっかけに脂質異常症についてご相談いただくことがあります。
消化器内科、肛門外科、内科、内視鏡検査を中心に診療している当院ですが、地域のかかりつけ医として、高血圧、糖尿病、脂質異常症、脂肪肝などの生活習慣病も日常的に拝見しています。
今回は、院長ブログとして、脂質異常症とは何か、LDLコレステロールや中性脂肪の数値をどのように見ればよいのか、そして受診の目安について、できるだけわかりやすくまとめます。
脂質異常症とはどのような状態か
脂質異常症とは、血液中の脂質の代謝に異常がある状態です。
代表的には、次のようなタイプがあります。

| 項目 | 主な意味 |
|---|---|
| LDLコレステロールが高い | 動脈硬化に関わりやすい、いわゆる悪玉コレステロールが多い状態 |
| HDLコレステロールが低い | 余分なコレステロールを回収する力が弱い状態 |
| 中性脂肪が高い | 食事、飲酒、肥満、糖代謝異常などと関係しやすい状態 |
| non-HDLコレステロールが高い | HDL以外の動脈硬化に関わる脂質が多い状態 |
脂質異常症が大切なのは、症状が出にくいにもかかわらず、長い時間をかけて動脈硬化を進める可能性がある点です。
動脈硬化が進むと、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患などのリスクにつながります。
日本動脈硬化学会も、脂質異常症は動脈硬化性疾患の重要な危険因子であり、リスクに応じた評価と管理が必要であると示しています。
「症状がないから大丈夫」と考えやすい病気ですが、むしろ症状がないうちに確認しておくことが、将来の心血管疾患の予防につながります。
LDLコレステロールとは?「悪玉」と呼ばれる理由
LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを体の各組織へ運ぶ役割を持っています。
コレステロール自体は、細胞膜やホルモンの材料にもなるため、体にとって必要なものです。
ただし、LDLコレステロールが多すぎる状態が続くと、血管の壁にコレステロールがたまりやすくなり、動脈硬化の原因になります。
そのため、LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれることがあります。
一般的な脂質異常症の診断基準では、
空腹時採血で
・LDLコレステロール
140mg/dL以上が高LDLコレステロール血症、
120〜139mg/dLが境界域高LDLコレステロール血症
・HDLコレステロール
40mg/dL未満
・中性脂肪
150mg/dL以上 が脂質異常症の目安になります。
ただし、ここで大切なのは、数値だけを単独で見ないことです。
同じLDLコレステロール140mg/dLでも、
高血圧がある方、糖尿病がある方、喫煙習慣がある方、心筋梗塞や脳梗塞の既往がある方、家族歴がある方では、意味合いが変わります。
つまり、脂質異常症は「LDLがいくつだから全員同じ対応」という病気ではなく、その方の背景やリスクを合わせて判断する必要があります。
中性脂肪とは?食事や飲酒の影響を受けやすい数値です
中性脂肪は、体のエネルギー源として使われる脂質です。
余ったエネルギーは中性脂肪として蓄えられます。
中性脂肪は、食事内容、飲酒、体重増加、運動不足、糖質の摂りすぎなどの影響を受けやすい項目です。
特に、甘い飲み物、菓子類、白米や麺類の過剰摂取、アルコール量が多い方では上がりやすくなります。
中性脂肪は、空腹時では150mg/dL以上が高トリグリセライド血症の目安です。
近年のガイドラインでは、随時採血、つまり食後など空腹でない状態では175mg/dL以上も脂質異常の判断に用いられるようになっています。
健診で中性脂肪が高かった場合、まず確認したいのは、採血が空腹時だったのか、食後だったのかという点です。
食後の採血では中性脂肪が高めに出ることがあります。
ただし、食後だから問題ないと決めつけず、繰り返し高い場合や、肥満、脂肪肝、糖尿病、高血圧を伴う場合には、生活習慣全体を見直すきっかけになります。
HDLコレステロールとは?低すぎる場合も注意が必要です
HDLコレステロールは、血管などにたまった余分なコレステロールを回収し、肝臓へ戻す働きがあります。
そのため「善玉コレステロール」と呼ばれています。
脂質異常症というと、LDLコレステロールや中性脂肪の高さに目が向きがちですが、HDLコレステロールが低いことも問題になります。
HDLコレステロールが40mg/dL未満の場合、低HDLコレステロール血症とされます。
HDLコレステロールは、喫煙、運動不足、肥満、糖代謝異常などと関係することがあります。
生活習慣の改善によって変化が期待できる項目でもあります。
脂質異常症の原因|食事だけでは説明できないこともあります

脂質異常症の原因として、まず思い浮かぶのは食事かもしれません。
確かに、脂質や糖質の摂りすぎ、飲酒、運動不足、体重増加は大きな要因です。
一方で、食生活に気をつけているのにLDLコレステロールが高い方もいらっしゃいます。
体質、加齢、閉経後のホルモン変化、遺伝的な要因、甲状腺機能低下症、腎臓病、糖尿病、内服薬の影響などが関係することもあります。
特にLDLコレステロールが非常に高い場合、若い頃から高い場合、ご家族に心筋梗塞や狭心症が多い場合には、家族性高コレステロール血症なども考える必要があります。
家族性高コレステロール血症では、通常の生活習慣改善だけでは十分に下がらないこともあり、専門的な評価が必要になることがあります。
「食事を気をつければすべて解決する」と単純化せず、原因を丁寧に見ていくことが大切です。
脂質異常症と消化器内科の関係|脂肪肝も一緒に考えます
横濱おなか診療所は、消化器内科、胃腸内科、肛門外科、内科、外科を中心とした診療所です。
脂質異常症そのものは生活習慣病の一つですが、消化器内科の診療でもよく関係してくるのが「脂肪肝」です。
健診で、
「肝機能異常」
「ALTが高い」
「脂肪肝疑い」
と指摘され、その背景を調べると、脂質異常症、肥満、糖尿病予備群、高血圧が重なっていることがあります。
脂肪肝は、お酒を飲む方だけの病気ではありません。
内臓脂肪、糖質過多、運動不足、インスリン抵抗性などが関係し、脂質異常症と同じ生活習慣の土台を持っていることがあります。
そのため当院では、脂質異常症を単に「コレステロールの薬を出すかどうか」だけで見るのではなく、体重、血圧、血糖、肝機能、腹部超音波検査の所見なども含めて、全体像を確認するようにしています。
受診の目安|健診結果をそのままにしないでください

次のような場合には、一度医療機関で相談しておくとよいと思います。
- LDLコレステロールが140mg/dL以上だった
- LDLコレステロールが120〜139mg/dLでも、高血圧、糖尿病、喫煙、家族歴がある
- 中性脂肪が150mg/dL以上、または随時採血で175mg/dL以上だった
- HDLコレステロールが40mg/dL未満だった
- 脂肪肝、肝機能異常、肥満、高血圧、糖尿病予備群を一緒に指摘された
- 若い頃からコレステロールが高い
- ご家族に若年での心筋梗塞、狭心症、脳梗塞の方がいる
- すでに心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などの既往がある
脂質異常症は、放置してすぐに症状が出る病気ではありません。
しかし、何年、何十年という単位で血管に影響していく病気です。
健診結果は、今の体を知るための大切なメッセージです。
横濱おなか診療所での診療の考え方
横浜市緑区・中山駅近くの横濱おなか診療所では、脂質異常症を指摘された方に対して、まず健診結果を確認し、生活習慣や既往歴、家族歴、内服薬、体重変化などを丁寧に伺います。
必要に応じて、血液検査、尿検査、腹部超音波検査などを行い、脂肪肝や糖尿病、高血圧などの合併がないかも確認します。
当院では診断の助けとして超音波検査や内視鏡検査を備えており、消化器症状や健診異常を含めて幅広く確認できる体制を整えています。
治療については、まず食事、運動、体重管理、飲酒量、喫煙などを見直します。
そのうえで、リスクが高い方、数値が高い方、生活習慣改善だけでは不十分な方には、内服治療を検討します。
大切なのは、「薬を飲むか飲まないか」だけではなく、ご自身のリスクを理解し、将来の心筋梗塞や脳梗塞を防ぐために何が必要かを一緒に考えることです。
まとめ|脂質異常症は“静かな血管のサイン”です
脂質異常症は、LDLコレステロール、中性脂肪、HDLコレステロールなどの異常によって、動脈硬化のリスクが高まる状態です。
症状がないことが多いため、つい後回しにされがちですが、健診で指摘された時点で一度立ち止まって確認することが大切です。
LDLコレステロールが高いのか、中性脂肪が高いのか、HDLコレステロールが低いのか。
さらに、高血圧、糖尿病、脂肪肝、喫煙、家族歴などがあるのかによって、対応は変わります。
横濱おなか診療所では、横浜・中山駅周辺の地域のかかりつけ医として、消化器内科、肛門外科、内視鏡検査だけでなく、内科領域の生活習慣病についても、患者さんの生活背景に合わせて丁寧に診療していきたいと考えています。
健診結果で脂質異常症を指摘された方は、まずは結果用紙を持ってご相談ください。
数値の意味を一緒に確認し、今後の健康管理につなげていきましょう。
Q&A|脂質異常症についてよくある質問
Q1. LDLコレステロールが少し高いだけでも受診した方がよいですか?
LDLコレステロールが境界域の場合でも、高血圧、糖尿病、喫煙、家族歴、脂肪肝などがあると対応が変わることがあります。
数値だけで判断せず、全体のリスクを確認することが大切です。
Q2. 中性脂肪は食後だと高くなりますか?
はい。中性脂肪は食事の影響を受けやすい項目です。採血が空腹時だったか、食後だったかを確認することが大切です。
ただし、繰り返し高い場合や、肥満・脂肪肝・糖尿病予備群を伴う場合は生活習慣の見直しが必要です。
Q3. コレステロールの薬は一度始めたら一生飲むのでしょうか?
必ずしも全員が一生内服するわけではありません。
ただし、心筋梗塞や脳梗塞の既往がある方、糖尿病などでリスクが高い方、LDLコレステロールが非常に高い方では、継続的な治療が望ましい場合があります。
自己判断で中止せず、医師と相談しながら考えることが大切です。
Q4. 脂質異常症と脂肪肝は関係しますか?
関係することがあります。
脂肪肝、肥満、高血圧、糖尿病予備群、脂質異常症は、生活習慣や内臓脂肪を背景に重なりやすい病気です。
消化器内科では、肝機能異常や脂肪肝をきっかけに脂質異常症を確認することもあります。
Q5. 食事でまず気をつけることは何ですか?
LDLコレステロールが高い方では、飽和脂肪酸の多い食品を摂りすぎないこと、食物繊維を意識することが大切です。
中性脂肪が高い方では、アルコール、甘い飲み物、菓子類、糖質の摂りすぎに注意が必要です。
極端な制限ではなく、続けられる形で整えていくことが大切です。









