「最近、体重が増えてきた」 「…
公開日:2026年07月22日
更新日:2026年07月22日

目次
脂肪肝は初期症状がほとんどなく、健診で初めて見つかることが多い病気です。
だるさなどの見逃しやすいサイン、肝機能障害との関係、自宅でできる改善策、受診の目安を消化器内科医が解説します。
「健康診断で脂肪肝と言われましたが、症状がないので放っておいても大丈夫でしょうか」
「お酒をあまり飲まないのに、なぜ脂肪肝になるのでしょうか」
「最近疲れやすいのは、肝臓が悪いせいですか」
このような疑問をお持ちの方は少なくありません。
まずお伝えしたいのは、脂肪肝を指摘されたからといって、すぐに重い肝臓病があると決まるわけではないということです。
一方で、脂肪肝は自覚症状がほとんどないまま進むことがある病気です。
「痛くないから大丈夫」と長く自己判断するのではなく、原因と肝臓の状態を一度確認しておくことが大切です。

今回は、脂肪肝の見逃しやすいサイン、放置した場合に考えられるリスク、健診結果の見方、自宅でできること、受診の目安について、診察室でお話しするように順番にご説明します。
まず知っておきたい結論:脂肪肝は「症状がない」ことが多い病気です
脂肪肝の初期症状として、特定の分かりやすい症状が現れることは多くありません。
肝臓は、多少の負担がかかっても症状を出しにくい臓器です。そのため、脂肪肝の多くは、健康診断で偶然見つかることが多いのが特徴です。
症状がある場合には、
・何となく疲れやすい
・体がだるい
・右上腹部に軽い重さや違和感がある
・食欲が落ちたように感じる
といった訴えがみられることがあります。
ただし、これらは睡眠不足、ストレス、貧血、甲状腺の病気などでも生じるため、症状だけで脂肪肝と判断することはできません。
脂肪肝で本当に注意したい「意外な初期サイン」は、体の不調というより、健診結果に現れる小さな変化です。

例えば、ALTやγ-GTPの軽度上昇、体重や腹囲の増加、中性脂肪・血糖・血圧の上昇などが、脂肪肝を見つけるきっかけになります。
肝機能が正常でも脂肪肝を完全には否定できません。
脂肪肝とは、肝臓に余分な脂肪がたまった状態です
脂肪肝は、肝細胞の中に中性脂肪が過剰にたまった状態です。
現在は、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの代謝異常と関係する脂肪肝を、主にMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)と呼びます。

脂肪肝には、大きく分けて次のような背景があります。
食べ過ぎや運動不足、内臓脂肪に関連する脂肪肝
現在、最も多いタイプです。
体重が大きく増えていなくても、内臓脂肪の増加や筋肉量の低下によって起こることがあります。
次のような状況が続いている方は注意が必要です。
・夜遅い時間に食事をすることが多い
・甘い飲み物や間食が多い
・外食や加工食品が多い
・座っている時間が長い
・数年間で体重や腹囲が増えた
・中性脂肪、血糖、血圧が高い
・睡眠不足や生活リズムの乱れ
痩せている方でも脂肪肝は起こるため、「太っていないから大丈夫」とは限りません。
飲酒に関連する脂肪肝
アルコールは肝臓で分解されるため、飲酒量が多い状態が続くと脂肪がたまりやすくなります。
「毎日は飲んでいない」場合でも、一度に多く飲む習慣(週末飲酒など)がある方は注意が必要です。
薬やほかの病気が関係する場合
薬剤、急激な体重減少、低栄養、内分泌疾患などが関係することもあります。
また、肝機能障害=脂肪肝とは限らないため、ウイルス性肝炎など他の病気との区別も重要です。
脂肪肝を放置すると、必ず肝硬変になるのでしょうか
すべての脂肪肝が進行するわけではありません。
脂肪がたまっているだけで安定している方も多くいます。
しかし一部では、肝臓に炎症が起こり、肝線維化(肝臓が硬くなる状態)が進行します。
これが長期間続くと、
- 肝硬変
- 肝臓がん
につながる可能性があります。
そのため、脂肪肝では「脂肪の量」だけでなく「肝臓の硬さ(線維化)」の評価が重要です。
また、脂肪肝は
- 糖尿病
- 心筋梗塞
- 脳卒中
などとも関連するため、全身の健康状態として捉えることが大切です。
医師は健診結果のどこを確認しているの?
診察では、過去との変化を重視します。
血液検査では主に以下を確認します。
- AST・ALT:肝細胞のダメージ
- γ-GTP:飲酒や胆道系の影響
- 血小板:線維化の指標
- アルブミン・ビリルビン:肝機能
- 中性脂肪・コレステロール
- 血糖・HbA1c
- 肝炎ウイルス
さらに、FIB-4 indexなどを用いて線維化の目安を評価することもあります。
加えて、
- 体重・腹囲の変化
- 飲酒量
- 運動習慣
- 服用薬
なども総合的に確認します。

自宅でできることはありますか
脂肪肝の改善は、生活習慣の見直しが基本です。
体重と腹囲を記録する
急激な減量ではなく、ゆるやかな減量を目指します。
甘い飲み物を減らす
まずは「飲み物を変える」だけでも効果的です。
食事を極端に制限しない
バランスの良い食事を継続することが重要です。
無理のない運動
「今より少し増やす」ことから始めましょう。
飲酒量を見直す
量を把握することが第一歩です。
様子を見てもよい場合と、受診した方がよい場合
経過観察が可能な場合
- 軽度と診断されている
- 定期フォローが決まっている
→ 医師の指示に従って経過観察
受診をおすすめする場合
- 初めて指摘された
- 数値が上昇している
- 生活習慣病がある
- 飲酒量が多い
→ 一度は医療機関で評価を受けましょう
早めの受診が必要な症状
- 黄疸
- 強いだるさ
- 腹痛
- 嘔吐
- 意識障害
→ 緊急性のある可能性があります

病院ではどのような診察や検査をするの?
- 問診(生活習慣・飲酒・薬)
- 血液検査
- 腹部超音波
必要に応じて、
- 肝硬度測定
- CT・MRI
などを行います。
横濱おなか診療所で大切にしていること
当院では、
- 健診結果の丁寧な説明
- 生活背景に合わせたアドバイス
- 必要最小限の検査
を大切にしています。
「何が問題なのか分からない」状態を解消することを重視しています。
まとめ
- 脂肪肝は症状が出にくい病気
- 健診結果が重要なサイン
- 一部では進行するため評価が必要
- 生活習慣の改善が基本
- 自己判断で放置しないことが大切
脂肪肝についてよくあるご質問
Q1.脂肪肝は放置しても大丈夫?
症状がなくても一度は確認が必要です。
Q2.痩せれば治る?
適切な減量で改善することがあります。
Q3.お酒を飲まないのに脂肪肝?
代謝異常が原因のことが多いです。
Q4.何科を受診?
内科・消化器内科へ。
Q5.薬やサプリは?
生活改善が基本で、サプリだけでは不十分です。
受診相談のご案内
脂肪肝を指摘された場合は、症状がなくても一度整理することが大切です。
迷った場合は、無理に自己判断せずご相談ください。
横濱おなか診療所
https://yokohama-onaka.com









