「トイレットペーパーに血がつい…
公開日:2026年08月12日
更新日:2026年08月09日

目次
突然おしりに硬いしこりができ、座れないほど痛む血栓性外痔核。
多くは手術せず改善しますが、強い痛みでは血栓を取り除く処置が有効なこともあります。
治療法と受診の目安を解説します。
突然「おしりが痛い!」血栓性外痔核かもしれません
「朝起きたら、おしりに突然しこりができていた」
「座るだけでも痛い」
「歩くたびにズキズキして、仕事にならない」
「こんなに痛い痔なら、すぐ手術をした方がよいのでしょうか?」
このような症状で受診される方に比較的よくみられるのが、血栓性外痔核(けっせんせいがいじかく)です。
名前だけ聞くと難しく感じますが、簡単にいえば、肛門の外側の血管の中に血のかたまり(血栓)ができ、急に腫れて痛くなった状態です。
まずお伝えしたいのは、血栓性外痔核だからといって、必ず手術が必要になるわけではないということです。
多くの場合、血栓は時間とともに少しずつ体に吸収され、薬などを使いながら経過をみることで改善していきます。
一方で、血栓性外痔核には、座ることも難しい、歩くのもつらい、眠れないほど痛いなど、日常生活を大きく妨げるほどの疼痛が出ることがあります。
そのような場合には、血栓を取り除く処置や手術によって、強い痛みを早く軽くできる可能性があります。
大切なのは、「痔だから我慢する」「痔だからすぐ手術する」と一律に考えるのではなく、痛みの強さや発症からの時間、腫れ方をみながら治療を選ぶことです。

血栓性外痔核は必ず手術する病気ではありません
血栓性外痔核について診察室で特にお伝えしているのが、
「血栓がある=取らなければならない、ではありません」
という点です。
血栓性外痔核は、時間の経過とともに自然に血栓が吸収され、症状が改善していくことが少なくありません。
そのため、痛みがそれほど強くない場合や、すでに痛みのピークを越えて少しずつ楽になっている場合には、軟膏や痛み止め、便を硬くしないための治療などを行いながら経過を見ることがあります。
実際、保存的に治療した場合でも、多くの患者さんで症状は徐々に改善します。
血栓性外痔核の痛みは発症後48~72時間ほどで強くなり、その後数日かけて軽くなっていくことが多いとされています。
ですから、痛みが改善方向に向かっている血栓性外痔核を、無理に切る必要はありません。

血栓性外痔核とは?「おしりにできた血豆」のような状態
外痔核は、肛門の出口付近、皮膚に近い部分にあります。
この部分の細い血管に血栓ができると、皮膚の下に突然、青紫色あるいは暗い色をした硬いしこりができます。
イメージとしては、おしりの皮膚の下に急に「血豆」ができたような状態です。
肛門の外側は痛みを感じる神経が豊富な場所です。
そのため、同じ「痔」でも、内痔核と比べて血栓性外痔核では強い痛みが出ることがあります。
血栓が大きい場合には、
「椅子に座れない」
「歩く振動だけでも痛い」
「寝返りを打つだけで痛い」
「排便が怖い」
といった状態になることもあります。

なぜ突然できるのでしょうか?
血栓性外痔核は、肛門周囲の血管に急に負担がかかったことをきっかけに起こることがあります。
たとえば、
- 便秘で強くいきんだ
- 下痢が続いた
- 長時間座りっぱなしだった
- 長時間立っていた
- 重いものを持った
- 飲酒が続いた
- 疲労や睡眠不足が重なった
といった状況です。
ただし、「特に何もしていないのに突然できた」という方も珍しくありません。
原因を探しすぎて「自分の生活が悪かった」と考える必要はありません。
痛みはいつまで続く?自然に治ることもあります
血栓性外痔核の特徴のひとつは、突然痛みが強くなり、その後徐々に軽くなることが多いことです。
痛みは発症してから2~3日程度の間に強くなることが多く、その後は腫れとともに少しずつ改善していきます。
ただし、痛みがなくなったからといって、しこりがすぐ消えるとは限りません。
血栓そのものが体に吸収され、腫れが完全に引くまでには数週間程度かかる場合があります。
血栓が大きい場合には、さらに時間がかかることもあります。
また、治ったあとに皮膚が少し余り、「スキンタグ」と呼ばれる皮膚のたるみが残ることもあります。
痛みが非常に強いときは手術という選択肢があります
一方で、血栓性外痔核の痛みが非常に強い場合には、自然に治るのを待つことが必ずしも患者さんにとって最善とは限りません。
「痛くて椅子に座れない」
「歩けず仕事に行けない」
「夜も眠れない」
「痛み止めを使ってもつらい」
という状態であれば、数日間ただ我慢すること自体が大きな負担になります。
このような場合、局所麻酔を行ったうえで、血栓を取り除く処置や血栓を含む外痔核を切除する方法が選択されることがあります。
適切に選ばれた血栓性外痔核の患者さんでは、早期に外科的治療を行うことで、保存的治療より症状が早く改善する可能性が示されています。

手術を検討しやすいのはどのような場合?
特に、
- 発症して間もない
- 血栓が比較的大きい
- 痛みが非常に強い
- 座る、歩く、眠るなどの日常生活に大きな支障がある
- 痛み止めなどでも十分にコントロールできない
といった場合には、処置を検討する意味があります。
一方、すでに数日経過して痛みが明らかに軽くなっている場合には、手術をせず経過を見る方が負担が少ないこともあります。
「何時間以内なら必ず手術」という単純な線引きではなく、痛みの程度と経過をみて判断することが大切です。
そのため私は、「手術ができるか」ではなく、「今この患者さんに手術をするメリットがあるか」を考えることが大切だと考えています。
自宅でできること
痛みが比較的軽く、経過をみる場合には、肛門に余計な負担をかけないことが大切です。
便秘がある方は水分をとり、便を極端に硬くしないようにします。
排便時には長時間トイレに座ったり、無理に強くいきんだりしないようにしましょう。
温かいお風呂や座浴で肛門周囲を温めることで、痛みが和らぐ方もいます。
ただし、強く押したり、自分で針を刺したり、しこりをつぶしたりしてはいけません。
血栓を自分で取り出そうとすると、出血や感染につながるおそれがあります。
「痔だろう」と決めつけないことも大切です
突然おしりが腫れて痛くなる病気は、血栓性外痔核だけではありません。
裂肛、肛門周囲膿瘍などでも強い痛みが出ることがあります。
特に、肛門周囲が赤く腫れて熱を持つ、発熱を伴う、時間とともに痛みが強くなる場合には、感染による肛門周囲膿瘍などとの区別が必要です。
「以前も痔になったから今回も同じだろう」と自己判断しないことも大切です。
受診するタイミングの目安
痛みが軽く、日に日に改善している場合には、無理をせず経過を見られる場合もあります。
一方、
- 痛くて座れない、歩けない
- 夜眠れないほど痛い
- 仕事や日常生活に支障がある
- 痛みが急に強くなった
- 腫れが大きくなっている
- 数日たっても改善しない
- 出血が続いている
- 発熱や強い腫れを伴う
といった場合には、早めに肛門外科などへ相談してください。
特に「痛くて生活ができない」こと自体が、受診を考えてよい理由です。
我慢できる限界まで待つ必要はありません。

血栓性外痔核を繰り返さないために
一度血栓性外痔核になったからといって、必ず再発するわけではありません。
ただ、便秘や強いいきみ、長時間同じ姿勢を続けることなど、肛門に負担がかかりやすい習慣がある方は少し見直してみましょう。
まず一つ変えるなら、排便時に長く座りすぎず、強くいきみ続けないことから始めてみてください。
便秘や下痢を繰り返している場合には、痔だけでなく便通そのものを整えることも再発予防につながります。
まとめ|我慢することだけが正解ではありません
血栓性外痔核は、肛門の外側に血栓ができ、突然強く腫れて痛む病気です。
多くは時間とともに血栓が吸収されるため、必ずしも手術が必要な病気ではありません。
一方で、座れない、歩けない、眠れないほど強い痛みがある場合には、血栓を取り除く処置によって早く痛みを軽減できる可能性があります。
「自然に治るのなら、痛くても我慢しなければならない」と考える必要はありません。
保存的に治すのがよいのか、処置をした方が早く楽になれるのか。
今の痛みや腫れを確認したうえで、一緒に治療方法を考えていくことが大切です。
5.Q&A
Q1.血栓性外痔核は放置しても自然に治りますか?
自然に改善することは少なくありません。
血栓は徐々に体内へ吸収され、多くの場合、まず痛みが軽くなり、その後しこりが小さくなっていきます。
ただし、強い痛みが続く場合や、発熱、腫れの悪化などがある場合には、別の病気も含めて診察を受けることをおすすめします。
Q2.血栓性外痔核なら手術をした方が早く治りますか?
痛みが非常に強い方では、手術によって症状が早く改善する可能性があります。
ただし、すでに痛みが軽くなっている場合には、そのまま保存的に治療した方が負担が少ないこともあります。
発症からの時間、血栓の大きさ、現在の痛みを合わせて判断します。
Q3.何日以内なら手術できますか?
発症早期で痛みが強いほど、手術による疼痛軽減のメリットを得やすいと考えられていますが、一律に日数だけで決めるものではありません。
海外では発症後48~72時間程度がひとつの目安として用いられることがありますが、実際には痛みがまだ強いか、改善しているか、血栓の状態などを診察して判断します。
Q4.血栓性外痔核は自分でつぶしても大丈夫ですか?
自分でつぶしたり、針を刺したりしないでください。
強い出血や感染につながる可能性があります。
血栓を除去した方がよい場合でも、麻酔や止血ができる医療機関で処置を行います。
Q5.血栓性外痔核は何科を受診すればよいですか?
肛門外科が適した診療科です。
肛門外科が近くにない場合には、外科や大腸肛門領域を診療している消化器科でも相談できることがあります。
特に突然できた痛みの強いしこりは、血栓性外痔核以外の病気との区別も必要です。
突然のおしりの痛みは、「恥ずかしい」「痔だと思うから少し我慢しよう」と受診をためらってしまう方も少なくありません。
しかし、血栓性外痔核は、痛みの程度によっては生活や仕事に大きな影響を与えることがあります。
横濱おなか診療所では、肛門の痛み、腫れ、出血などについて肛門外科の視点から診察し、薬で経過をみる方がよいのか、早めの処置を検討した方がよいのかを、症状に合わせて相談しています。
痛みが強い患者さんでは、診察や処置そのものが不安になって当然です。当院では必要に応じて鎮痛にも配慮しながら診療を進めています。
「手術を受けたい」と決めてから受診する必要はありません。
「この痛みをもう少し何とかできないでしょうか」という段階でご相談いただいて構いません。
横濱おなか診療所
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肛門外科の診療について詳しくはこちら
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