こんにちは。横浜市緑区・中山駅…
公開日:2026年10月10日
更新日:2026年10月07日

目次
「ピンピンコロリを日常生活に。」
横濱おなか診療所では、体重を減らすこと自体をゴールにはしていません。
大切なのは、その先も自分の足で動き、自分らしく暮らせる時間をできるだけ長くすること。
今回は、マンジャロ®による自由診療を「時間」という視点から考えてみます。
マンジャロ®を始めたい。でも保険診療ではすぐ始められない?
診察室で、
「食事にも気をつけています。運動もしています。でも体重が落ちません」
「マンジャロは保険で使えないのでしょうか?」
と相談されることがあります。
まずお伝えしたいのは、肥満は単純に「意思が弱いから太る」というものではない、ということです。
食欲、満腹感、睡眠、ストレス、年齢による体組成の変化、仕事や家庭環境など、さまざまな要素が重なっています。
努力していても結果につながりにくい方は少なくありません。
一方で、現在はチルゼパチドという薬をはじめ、肥満症に対する治療の選択肢が広がっています。
ここで大切なのが、「保険で治療する場合」と「自由診療で治療する場合」の違いです。

まず知ってほしい「マンジャロ®」と「ゼップバウンド®」の違い
マンジャロ®とゼップバウンド®は、どちらも「チルゼパチド」という同じ有効成分を使った週1回の注射薬です。
日本では、マンジャロ®は2型糖尿病、ゼップバウンド®は肥満症の治療薬として承認されています。
そのため、糖尿病ではない方がマンジャロ®を肥満治療に使用する場合は、承認された適応とは異なる「適応外使用」となり、自由診療での治療になります。
この違いを踏まえ、次に保険診療で肥満症を治療する場合の条件について考えてみましょう。
肥満症の保険診療では、なぜ治療開始まで時間がかかるのか
「肥満症の薬が保険適用になったなら、希望すればすぐ使えるのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、ゼップバウンド®を肥満症に対して保険診療で使用するには、明確な条件があります。
代表的な条件として、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有することに加え、
- BMI 27以上で、肥満に関連する健康障害を2つ以上有する
- またはBMI 35以上などの患者要件があります。
さらに重要なのが、治療開始前の生活習慣改善です。
現在の最適使用推進ガイドラインでは、適切な食事療法・運動療法の治療計画を立て、原則6か月以上実施しても十分な効果が得られないことが求められています。
その間には、管理栄養士による継続的な栄養指導なども必要です。また、処方できる医療機関にも専門医や管理栄養士などの施設要件があります。
これは薬を出し渋るための条件ではありません。
肥満症は薬だけで治療する病気ではなく、食事・運動を含めて長期的に管理する必要があるためです。
ただ、患者さんから見ると、ここには一つの問題があります。
「今、体重を減らしたい」と思って受診してから、薬物治療を開始できるまでに、半年以上の期間が必要になる場合があるということです。

私が考える自由診療の価値は「薬」ではなく「時間」
ここで、今回一番お伝えしたいことがあります。
私は、マンジャロ®の自由診療の価値を単純に、
「お金を払えば薬を早く使えること」だとは考えていません。
むしろ、
「生活を変えやすい状態を早くつくるための時間を買う」という考え方に近いと思っています。
チルゼパチドを用いた臨床試験では、生活習慣改善と組み合わせることで大きな体重減少が得られることが示されています。
また、治療を開始した比較的早い段階から体重減少がみられる方もいます。ただし、効果の現れ方には個人差があります。
体重が少しずつ減り始めると、
「せっかく減ったから今日は歩こう」
「以前より少ない食事量でも満足できる」
「体が軽くなったから運動してみよう」 といった変化が起こる方がいます。
私は、この最初の小さな成功体験がとても大切だと考えています。
体重が動き始める時期を、生活習慣を変えるチャンスに
逆に、半年間頑張って食事を変えても、運動しても体重がほとんど変わらなければ、
「どうせやっても減らない」という気持ちになってしまうことがあります。
保険診療では、まさにそうした生活習慣改善だけでは十分な減量が得られなかった方が、薬物療法の対象になります。
もちろん、その考え方には医学的な理由があります。
ただ私は、薬を始めた後になって突然、
「では今日から食事と運動を頑張りましょう」
と言われても、長期間うまくいかなかった行動をすぐに変えるのは難しい場合もあると感じています。
だからこそ当院では、薬を使っている期間を「薬に任せる期間」にはしたくありません。
食欲や体重が変わり始めたタイミングこそ、これから続けられる食事・運動・睡眠の形を一緒につくる期間だと考えています。

大切なのは「始め方」より「やめ方」
マンジャロ®を始める前に、私がお話ししたいことがあります。
それは、
「いつ、どうやってやめるかも最初から考えましょう」ということです。
体重が減ったから治療成功、ではありません。
薬をやめた途端、以前と同じ食事や生活に戻れば、体重が再び増える可能性があります。
実際、チルゼパチドを36週間使用した後に中止した臨床試験では、その後1年間でかなりの体重再増加がみられました。
反対に、治療を継続した群では体重減少が維持されました。
つまり、
「薬で痩せたから、もう大丈夫」ではないということです。
当院では開始時から出口を考えます
そのため当院では、マンジャロ®を開始した日から生活習慣の改善にも取り組みます。
たとえば、
- 以前より少ない食事量でも満足できる食べ方を考える
- 筋肉を維持するため、適切なたんぱく質摂取や運動を意識する
- 間食する時間や理由を振り返る
- 睡眠不足や飲酒が食欲に影響していないか確認する
といったことを一緒に見直します。
そして、経過が順調な方では、GIP・GLP-1受容体への作用による治療と生活習慣改善の相乗効果を利用しながら、3〜4か月後の「マンジャロ卒業」を一つの目標として考えることがあります。
薬を使っている間に、薬がなくても続けられる生活を準備しておく。
これが当院の考える「出口戦略」です。

ただし「3〜4か月で卒業」が全員の正解ではありません
ここはとても重要です。
3〜4か月での卒業は、医学的な標準治療として全員に決められた期間ではありません。
当院が提案している一つの目標であり、3〜4か月での中止によって、その後も減量効果が維持できると証明されているわけではありません。
実際、チルゼパチドの治療を中止すると、体重が再び増える方が少なくないことも臨床研究で分かっています。
したがって、「3か月使えば治る」「4か月で必ずやめられる」という意味ではありません。
体重、体組成、食事、運動、合併症、副作用、そして本人がどこまで生活習慣を作り直せたかを見ながら、治療期間は一人ひとり判断します。
必要に応じて治療方針を見直し、中止後も体重管理を続けることが大切です。
マンジャロ®は誰にでも勧める治療ではありません
自由診療だからといって、希望された方すべてに処方するわけではありません。
マンジャロ®では吐き気、下痢、便秘などの消化器症状がみられることがあります。
また、急性膵炎、胆のう・胆管の病気、脱水などにも注意が必要です。
ほかの糖尿病治療薬と併用する場合には、低血糖の危険性が高まることもあります。
妊娠中や妊娠を希望する方、一部の持病がある方など、使用できない、または慎重に判断すべき場合もあります。
さらに、自由診療には薬剤費や診察費などの自己負担が生じます。
マンジャロ®を肥満治療目的で使用することは国内承認適応外であり、この目的での有効性・安全性が国内で承認・審査されたものではないことも理解していただく必要があります。
また、普通体重の方が「もっと細くなりたい」という美容目的で安易に使用する薬だとも考えていません。
治療前には、現在の体重だけでなく、これまでの体重変化、持病、服薬、食生活などを確認し、その方に薬物治療を取り入れる意味があるかを考えます。
肥満治療のゴールは、体重計の数字だけではありません
5kg痩せる、10kg痩せる。
もちろん分かりやすい目標です。
でも、本当に大切なのはその先です。
体が軽くなって歩きやすくなる。血圧や脂肪肝などの改善を目指す。外出することが以前ほど億劫ではなくなる。
そして、薬を使わなくなった後も、自分で体重を管理できる生活をつくる。
そうした変化までつなげられて、初めて減量の意味が出てくると私は考えています。

まとめ|薬に任せる時間ではなく、自分の生活を作り直す時間へ
マンジャロ®の自由診療を、単純に「高い薬を自費で買うこと」と考えると、その価値は薬剤そのものだけになります。
私たちが目指しているのは少し違います。
薬の力を借りて体重が動きやすくなった時間を、これからの生活を作り直す時間として使うこと。
これが、今回お伝えしたかった「時間を買う」という考え方です。
保険診療には、安全性と適正使用を守るための大切な役割があります。
一方、自由診療には、十分な説明と安全管理を前提として、患者さんの状況に合わせた別の選択肢を考えられる側面があります。
どちらが優れているという話ではありません。
大切なのは、「自分はなぜ体重を減らしたいのか」「薬を使っている間に何を変えるのか」「薬をやめた後にどう暮らすのか」まで考えて治療を選ぶことです。
それが、将来も自分らしく動ける時間を考える肥満治療につながると私は考えています。
よくあるご質問(Q&A)
Q1.マンジャロ®は肥満治療なら保険で使えますか?
マンジャロ®を肥満治療目的で保険使用することはできません。
マンジャロ®の日本での承認適応は2型糖尿病です。肥満症について承認されている同じ成分の製剤がゼップバウンド®です。
ゼップバウンド®を保険診療で使用する場合にも、BMIや合併症、事前の生活習慣改善、医療機関の体制などの条件があります。
Q2.ゼップバウンド®を保険で使うには、半年待たないといけないのですか?
肥満症については、原則として6か月以上の適切な食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られないことが要件の一つです。
単に「半年待つ」のではなく、その間に治療計画に基づいた生活習慣改善を実施し、管理栄養士による栄養指導などを受けることが求められています。
ほかにも患者要件・施設要件があるため、保険診療の対象になるかどうかは医療機関で確認する必要があります。
Q3.マンジャロ®を使えば、食事や運動をしなくても痩せられますか?
当院では、そのような使い方はおすすめしていません。
チルゼパチドの臨床試験も、食事・身体活動への介入と組み合わせて行われています。
薬で食欲が変化している期間を利用して、「薬をやめても続けられる生活」を作ることが重要です。
Q4.3〜4か月使えばマンジャロ®をやめられますか?
すべての方が3〜4か月で中止できるわけではありません。
3〜4か月後の卒業は、当院が経過の良い方に提示する一つの目標です。
体重減少の程度、生活習慣がどこまで定着したか、合併症や副作用などを見ながら個別に判断します。
また、チルゼパチド中止後には体重が再び増える方が少なくないことも分かっています。
自己判断で中止せず、医師と相談しながら治療方針を決めましょう。
Q5.自由診療と保険診療では、どちらを選ぶべきですか?
一律にどちらがよいとは言えません。
保険診療の対象条件を満たす方は、まず適切な保険診療を検討することが基本です。
一方、保険適用の条件や開始までの期間、現在の健康状態、これまでの減量歴などを踏まえ、自由診療という選択肢について相談することもできます。
大切なのは、薬を早く手に入れることではなく、なぜ治療するのか、いつまで使うのか、やめた後をどうするのかまで含めて考えることです。
横濱おなか診療所からのご案内
肥満治療は、「薬を使うか、使わないか」だけで決まるものではありません。
まずは体重、腹囲、血圧、血液検査、現在の生活習慣などを振り返り、「自分は何を変えたいのか」を整理するところから始めてみてください。
生活習慣を見直してきたものの体重がなかなか減らない方や、保険診療と自由診療のどちらが自分に合っているのか分からない方は、その段階でご相談いただいて構いません。
横濱おなか診療所では、「ピンピンコロリを日常生活に。」を合言葉に、薬を処方することそのものではなく、その先にある「自分らしく動ける時間」をどう支えるかを一緒に考えていきます。
横濱おなか診療所
公式サイト:https://yokohama-onaka.com/
マンジャロ®による肥満治療について:
https://yokohama-onaka.com/medical/medical12.html










