「ピンピンコロリを日常生活に。…
公開日:2026年10月01日
更新日:2026年10月03日

目次
「ピンピンコロリを日常生活に。」
横濱おなか診療所では、治療を始めることだけでなく、無理なく続けられることも大切だと考えています。
良い治療でも、毎晩つらければ長く続けるのは難しいものです。
今回は、CPAPを続けるうえでよくある悩みの一つ、「マスクからの空気漏れ」についてお話しします。
CPAPの「空気漏れ」は我慢しなくて大丈夫です
「CPAPをつけると、頬の横から空気が漏れてくる」
「目に風が当たって、目が乾く」
「シューシューという音が気になって眠れない」
「漏れないようにベルトを締めたら、今度は顔が痛くなった」
CPAPを使っている患者さんから、このようなご相談をいただくことがあります。
まずお伝えしたいのは、CPAPのリーク(意図しない空気漏れ)は、ただ我慢して使い続けるものではないということです。
位置を少し直すだけで改善することもあれば、マスクのサイズ、形、寝姿勢、クッションの状態などを見直した方がよいこともあります。
そして、患者さんの「つけ方が悪い」と決めつける必要もありません。
CPAPのマスクは毎晩、何時間も顔に触れて使うものです。
顔立ちや寝方は一人ひとり違いますし、マスクや部品の状態も時間とともに変化します。
だからこそ、「我慢できるか」ではなく、どうすればもう少し快適に使えるかを一緒に考えることが大切です。

CPAPのリークとは?少し空気が出るのは異常?
ここは最初に知っておいていただきたいポイントです。
CPAPマスクには、吐いた息を外へ逃がすための排気口(ベント)があります。
そのため、決められた部分から一定量の空気が出ていること自体は異常ではありません。
一方、
- マスクと頬のすき間から強く風が出る
- 鼻の横から目の方向へ風が吹く
- 寝返りをすると突然「シューッ」と音がする
- 朝になるとマスクが大きくずれている
といったものは、マスクと顔の間などから起こる意図しないリークの可能性があります。
つまり、「空気が出ている=すべて故障」というわけではありません。
どこから、どのように漏れているのかを確認することが最初の一歩です。
なぜCPAPマスクから空気が漏れるの?
1.マスクの位置が少しずれている
非常によくある原因です。
マスクは数ミリ位置が変わるだけでも、鼻や頬のカーブとの密着具合が変わります。
特に寝返りを打ったあとや、枕にマスクが押されたときには位置がずれやすくなります。
いったん電源を止めてマスクをつけ直すだけで改善することもあります。
2.マスクのサイズや形が顔に合っていない
「前はこれで大丈夫だったから、今もこのマスクでよいはず」とは限りません。
顔の大きさだけでなく、
- 鼻の高さ
- 鼻の幅
- 頬の形
- 鼻の下からあごまでの長さ などによってフィット感は変わります。
また、同じ「Mサイズ」でも、マスクの製品や形が変わればフィット感は同じではありません。
メーカーのトラブルシューティングでも、リークが続く場合にはマスクの位置だけでなく、サイズが適切かどうかを確認することが勧められています。マスクガイド(英語)
3.「漏れないように」と締めすぎている
これは、とても大切なポイントです。
空気が漏れると、
「もっと強く締めればよいのでは?」と考えたくなります。
ところが、強く締めれば締めるほどよいわけではありません。
マスクのクッション部分は、適度にふくらみながら顔へ密着するよう設計されているものがあります。
締めすぎるとクッションの形が崩れ、かえってすき間ができたり、鼻や頬を圧迫したりすることがあります。
メーカー資料でも、不快感やリークがある場合には過度な締め付けを避け、ストラップを均等に調整することが案内されています。マスクガイド(英語)
「空気漏れ+顔が痛い」という方は、一度締め付けすぎていないか確認してみましょう。
4.寝返りや寝姿勢でマスクが動いている
診察室で椅子に座って装着したときにはぴったりでも、ベッドに横になると状況が変わります。
横向きになれば枕がマスクに当たり、チューブが引っ張られればマスク全体がずれることもあります。
メーカーも、マスクのフィットは実際に横になった状態で確認することを勧めています。Resmed UK(英語)
「寝始めは大丈夫なのに、夜中から漏れる」という方は、寝姿勢もヒントになります。
5.クッションや部品が汚れている・劣化している
「ずっと快適だったのに、最近になって漏れ始めた」
という場合には、マスク側も確認してみましょう。
顔の皮脂などがクッション表面につくと、密着しにくくなることがあります。
また、長期間使用していると、クッションが柔らかくなりすぎたり、変形したり、部品が傷んだりすることもあります。
製品ごとに清掃方法や交換の考え方は異なりますので、使用説明書やCPAPを管理している医療機関・機器業者の案内に従ってください。
6.口から空気が漏れている
鼻マスクや鼻ピローマスクを使っている方では、眠っている間に口が開き、口から空気が逃げる場合があります。
本人は気づきにくいのですが、
「朝、口がひどく乾く」
「家族に口を開けて寝ていると言われる」という場合には一つの手がかりになります。
マスクを締めるだけでは改善しないため、口呼吸の原因やマスクの種類を含めて相談した方がよい場合があります。メーカーの患者向け資料でも、口からの漏れがある場合にはマスクタイプなどの再検討が選択肢として示されています。

CPAPのリークで困ったときに自宅で確認したい5つのこと
すべてを一度に行う必要はありません。
まずは次の順番で確認してみてください。
- いったんマスクをつけ直す
鼻や口の位置とマスクの中心が合っているか確認します。 - ベルトを強く締めすぎていないか確認する
左右を極端に違う強さにせず、少しずつ調整します。 - 横になった状態でも確認する
実際に寝る姿勢、特に横向きになったときに漏れないか見てみます。 - クッションや接続部を確認する
汚れ、折れ曲がり、変形、外れかけている部分がないか確認します。 - いつ漏れるかを覚えておく
「つけた直後」「横向きになったとき」「夜中」「朝方」などが分かると、原因を探しやすくなります。
まず一つだけ試すなら、マスクを強く締める前に、位置をいったんリセットしてつけ直してみてください。
それだけで密着が変わることがあります。

「目に風が当たる」ときはどうすればよい?
目に風が当たる場合、鼻の付け根付近から上方向へリークしていることがあります。
このときも、最初からベルト全体を強く締めるのではなく、
マスクの位置 → クッションの折れや浮き → ストラップの調整 → サイズ
という順に確認してみてください。
メーカー資料でも、目の周囲へのリークではマスク位置の調整や、必要に応じたストラップ調整、サイズ確認が案内されています。マスクガイド(英語)
風が長時間目に当たり続ければ、目の乾燥や刺激感につながることもあります。
目の痛み、強い充血、見え方の異常などがある場合は、単なるCPAPの不快感として我慢せず、必要に応じて眼科への相談も検討してください。

リークが続くときはCPAPのデータも確認します
CPAPでは、使用時間だけを見ているわけではありません。
機種によって表示項目は異なりますが、
- 使用時間
- 治療中に残っている無呼吸・低呼吸
- 圧力
- リーク
などのデータを確認できる場合があります。添付資料でも、CPAP治療ではリークを含むデータを確認しながら経過を見ることができます。
ここで大切なのは、機械の数字だけで判断しないことです。
「データ上は大きなリークではないけれど、目に風が当たって毎晩つらい」ということもあります。
反対に、ご本人はそれほど気になっていなくても、データからリークが目立つこともあります。
機械の記録と、「実際にどう感じているか」の両方を確認することが大切です。
長期CPAP使用者を対象とした研究でも、患者さんが自覚するリークと機器が記録するリークは必ずしも一致しないことが報告されています。
我慢してCPAPをやめる前に相談してください
リークが毎晩続き、
「CPAPをつける方が眠れない」
「もう外して寝たい」 と思うようになったら、我慢を続けるより一度相談してください。
特に、
- 何度つけ直しても漏れる
- 目に風が当たり続ける
- 鼻や頬に痛み・傷ができる
- マスク跡が強く残る
- 夜中に何度もマスクを外してしまう
- 口の乾燥が強い
- 最近急にリークが増えた
- CPAPそのものをやめようか迷っている
という場合には、通常の診療時間内に相談してよいタイミングです。
マスクのサイズを変える、別の形のマスクを試す、クッションなどの部品を確認する、装着方法をもう一度見直すなど、改善できる余地が残っているかもしれません。
CPAPマスクには鼻マスク、鼻ピローマスク、フルフェイスマスクなど複数のタイプがあり、患者さんに合わせて選択することの重要性は前回のブログでもご報告させて頂きました。
「CPAPが自分には合わない」と結論を出す前に、「今のマスクや設定が自分に合っているか」を確認してみる。
この順番を大切にしていただきたいと思います。

まとめ|「合わない」のではなく、調整できる余地があるかもしれません
CPAPの空気漏れは、珍しい悩みではありません。
そして、リークがあるからといって、必ずしもCPAPそのものが合わないわけではありません。
マスクの位置、締め具合、サイズ、寝姿勢、部品の状態、口呼吸など、いくつかの要因を一つずつ確認することで改善することがあります。
特に覚えておいていただきたいのは、
「漏れるから、もっと締める」だけが正解ではないということです。
治療は、始めることと同じくらい、無理なく続けられることが大切です。
良い睡眠を積み重ね、日中を元気に過ごせることは、これからも自分らしく生活していくための土台の一つです。
「こんなことで相談してよいのかな」と思うような小さな不快感でも構いません。
CPAPをやめてしまう前に、まず困っていることを一つ教えてください。
Q&A
Q1.CPAPマスクから少し空気が出ています。故障でしょうか?
すべての空気漏れが故障というわけではありません。
CPAPマスクには、吐いた息を排出するために意図的に空気を逃がす部分があります。
一方、頬とのすき間から強く漏れる、目に風が当たる、大きな音がするといった場合には、意図しないリークの可能性があります。
Q2.空気が漏れるときは、マスクを強く締めればよいですか?
強く締めれば必ず改善するわけではありません。
締めすぎによってクッションが変形したり、顔への圧迫が強くなったりすることがあります。
まず位置をつけ直し、それでも漏れる場合にストラップを少しずつ調整してみてください。
Q3.目に風が当たります。そのまま使っていても大丈夫ですか?
一時的なら位置調整で改善することもありますが、毎晩続く場合は我慢しないでください。
鼻の付け根付近から上方向へ空気が漏れている可能性があります。
マスクの位置やサイズを確認し、それでも改善しない場合はCPAPを管理している医療機関へ相談しましょう。
目の痛みや強い充血、見え方の異常がある場合は眼科への相談も検討してください。
Q4.以前は漏れなかったのに、最近漏れるようになりました。なぜですか?
マスクやクッションの状態が変化している可能性があります。
皮脂などによる汚れ、クッションの変形・劣化、接続部分のゆるみなどを確認します。
寝姿勢が変わった場合や、体重変化などによってマスクのフィット感が変わることもあります。
Q5.リークが直らなければCPAPをやめてもよいですか?
自己判断で中止する前に、一度ご相談ください。
CPAP自体ではなく、マスクのサイズやタイプ、装着方法などに原因があることがあります。
「使えない治療なのか」を決める前に、「今の使い方を調整できないか」を確認することが大切です。
CPAPのリークは、「これくらい我慢しなければ」と思われやすい不快症状の一つです。
しかし、毎晩使う治療だからこそ、小さな違和感を放置しないことが大切です。
まずは今日、マスクを締め直す前に、一度位置をリセットしてつけ直すところから試してみてください。
それでも空気漏れや目への風、顔の痛みなどが続く場合は、マスクのサイズや種類、部品の状態、CPAPの使用データなどを含めて確認していきましょう。
横濱おなか診療所では、「ピンピンコロリを日常生活に。」を合言葉に、治療を始めるだけでなく、その治療を無理なく生活の中で続けられることも大切にしています。
「CPAPをやめようかな」と思う前の段階でも、困っていることがあればご相談ください。
横濱おなか診療所
https://yokohama-onaka.com/









